2db5e645084d3055cf1df14a016469a7_s先日、テレビ番組の中で、東南アジア地域から来日している若い方が、日本の駅や道路の各所に設置されている黄色いプレート(視覚障害者を安全に誘導するために地面や床面に設置されている点状あるいは線状ブロック)に感心したとの感想を述べていました。
日本の福祉対策については、私が北ヨーロッパに滞在していた経験から、その後進性を残念に思っていたので、意外に思ってこの黄色い線状ブロックの由来を調べてみました。
その結果、この仕組みは安全交通試験研究センター長の三宅精一氏が友人の失明をきっかけに1965年に発明し、その2年後に岡山市内に世界に先駆けて設置されたとのことでした。今では日本各所で当たり前のように普及しているものが、このような経緯で導入されたことを知り、その先進性に認識を新たにした次第です。

By Hannah (Japanese Book 『國文学名家肖像集』) [Public domain], via Wikimedia Commons

By Hannah (Japanese Book 『國文学名家肖像集』) [Public domain], via Wikimedia Commons

それと共に、私が子どもの頃に母から聞かされた次の話も思い出しました。
それは江戸時代の国学者、塙 保己一(はなわ ほきいち)のことです。
当人は三歳の時に眼病にかかり、7歳で失明、色々と辛く苦しい思いをしましたが、それに挫けず苦学の末、晩年(74歳)までに666冊もの国学書「群書類従」を編纂されました。この書物は、日本の故事研究には欠かせない内容となり、その後の歴史学、国文学他、多くの研究者に多大な影響を与えてきており、現在は国の重要文化財に指定され保管されているとのことです。
そのような業績から東洋の英傑と称されたこの人物の逸話の一つなのですが、「保己一が、ある夜に子弟に源氏物語の講義をしていた時です。教室に一陣の風が吹き込んで灯火が消えてしまいました。皆がざわめく中、弟子が『先生、ちょっとお待ちください』と保己一に申し出ました。その事情を知った保己一が『さてさて、眼明きとは不自由なものよのー』と微笑みつぶやかれた。」という内容です。
またそれに加え、その保己一が、かのヘレン・ケラー(Heren Adams Keller1880~1968)の心の支えでもあったということについてです。彼女は米国の教育家、社会福祉活動家ですが、もともと視覚と聴覚の重複障害者でありながら苦難を克服し、世界を歴訪、障害者の教育・福祉の発展に尽くされ、数々の功績と共に多くの名言、格言も残した方です(末尾にその一部を記載)。その彼女が昭和21年に初めて来日された時、真っ先に渋谷の温故学会(塙保己一の学問を継ぐ研究所)を訪れ、保己一の木像や机に触れながら『私は塙先生のことを知ったおかげで、傷害を克服することができました。心から尊敬する人です』と感謝の言葉を述べたという記録が残されています。

このようなことから、「福祉の目線」というものの種を未熟な私の頭の中に植えてくれていた親に、今さらながら改めて感謝した次第です。

ヘレン・ケラー女史の残した言葉:
We could never learn to be brave and patient, if there were only joy in the world.
「もしもこの世が喜びばかりならば、人は決して勇気と忍耐を学ばないだろう」
Although the world is full of suffering, it is full also of the overcoming of it.
「世の中は辛いことでいっぱいだが、それに打ち勝つことも満ち溢れている」
We can do anything we want to if we stick to it long enough.
「こつこつと気長に取り組めば、どのような望みでも実現できる」

ここで、せっかくの機会ですから、少し我が国の福祉対象者の実態について勉強してみましょう。
福祉が対象とする障害は、身体障害、知的障害、精神障害の三つに分けられます。今では、我が国のそれらに該当する人たちは、人口千人あたりの人数でみると身体障害者は31人、知的障害者は6人、精神障害者は25人存在すると報告されています。これらの内容の詳細についてぜひ次の資料を開いて、目を通しておかれることをお薦めします。
いつ何時皆さんがその範疇に入るか分かりませんし、年齢を重ねると否が応でも障害は避けられません。またその福祉に関係する予算は、皆さんの納める税金でまかなわれているわけで、その対策をより拡大することを望むのであれば、欧州諸国のように高率の税を負担することに甘んずるか、その分を皆こぞって公正公平にやりたいことをやめていくかしかないのですから、他人事とは思わないで一度は内容を確認しておかれることをお薦めします。

*内閣府ホームページ:
平成26年度版障害者白書→第3章
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h26hakusho/zenbun/index-pdf.html
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h26hakusho/zenbun/pdf/s3.pdf
障害者の発生年齢及び原因
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h25hakusho/zenbun/h1_01_01_04.html

その他関連情報を広範囲に確認したい方のために
障害者保健福祉研究情報システム:
http://www.dinf.ne.jp/index.html
〈 後編に続く 〉